先日1冊の本が出版された。

それは 女性たちが見ている10年後の消費社会

(株式会社ハー・ストーリィ代表取締役 日野佳恵子著)

その本は女性視点マーケティングについて書かれたものになる。

女性視点マーケティング3つの女性が見ている消費社会

 ❶モノを見ながら、常に家族や子ども、

          関連する人々の使用場面を想像する

 ❷選択責任者として、家族に、子どもに、

             社会に良いモノかを選定する

 ❸購入時に、「モノ+人に優しい状態=商品価値」

                  となる感覚が強い


 ☛活用シーンがイメージできるような単語や伝え方が重要


従来のマーケティングと女性視点マーケティング は大きく異なる。


例をあげるなら

・プロダクト志向 → 女性視点マーケティングではライフ志向、コト発想

・シェアを奪う → 共に育てる、共に生きる、バランス重視のように。

  今までのマーケティングとは志向が異なるのだ。


本書の中には女性が創出する7つの消費について紹介されている。

❶生活基盤消費

  生活必需品の管理監督者は女性

❷生活向上消費

  女性は、常に日々の暮らしを少しでもよくしたいと思っている 「今よりよくなりたい・・」

❸おせっかい消費

  自分以外の人のことをいつも気にかけている

❹代理購買消費

  日常生活と紐付けながら買い物をする

☛ シーンでモノを買う

❺交際維持消費

  他人との関係をつなぐ行動をする女性

❻クチコミ消費

  他人の口コミから影響を受ける消費行動をする女性

❼トレンド消費

  女性がもっともワクワクする買い物は、トレンド消費(季節トレンドなど)

・・・ この本を読んで思うことは

女性視点マーケティングの成功は「共」であると。

世帯消費の9割に口を出す女性の消費行動は、「常に誰かと”共”にあることを意識」する

マーケティングプロセスに組み込むべき「6つの”共”」


①共感 女性の声に耳を傾ける  自分事にならなければ共感はできない

②共鳴 ブランドの物語とヒロインに共鳴 女性は物語が好きだ 「らしく」を気にする

    ひとときの夢の国へ連れていく

③共創 商品を魅力的に伝える共創に感動その商品が大切にされているかを感じとる

    オーケストラのような愛情あるハーモニーで迎えられた時、女性は感動する

④共働 誰かの役に立ちたい 特別でないフツーの私と、フツーの誰かの情報が個々につながる

⑤共育 コミュニティで共育し合う 女性たちは常に先を教えてくれる

⑥共生 暮らしのリーダーとして居続ける

があげられる。


ワークマン、スープストックトーキョー、ディーン&デルーカ・・・など、

実際に女性視点マーケティングを実践し 選ばれている企業の事例が紹介されているので

より身近なものとしてイメージしやすいのではないだろうか。


また本書には女性視点マーケティング習得に必要な5つの理解が書かれている。

少し、女性脳と男性脳という形で整理してみると


▷男性脳と女性脳

男性脳 モノそのもののグレード、性能の高さを見ている

女性脳 モノを使う時とその後のシーンを想像している

     他者の心の動きを相手の立場に立って推測する

☛他人がどう感じるか?に関心

     憧れの人の後ろ側に「幸せそう」と自分を重ねる


女性は単に「モノが欲しい」ではなく、利用シーンや、そのモノを使う相手を想像して、

その相手にとって必要なものが何かまで を考える能力を有しているのだ。


そして、女性脳の「快」、「不」や女性の五感。

掘り下げてみてみると

女性脳の「快」とは

 ・「幸せ」を感じられること

 ・仲がいい

 ・右脳と左脳の連携が活発なため、事実と情緒がセット

 ・赤ちゃんを想起できる色(ピンク)、質感、形、感触

 ・自分の状態を理解していること、大切にされていること

女性脳の「不」とは

 ・集団から外されること

 ・事実だけでも感覚だけでも納得できない

 ・赤ちゃんを想起するのとは反対、強い色、ゴワゴワした質感、ゴツゴツした感覚、鋭角的鋭さ

 ・自分の状態を理解されていないこと、大切にされていないこと


そして女性の五感とは

①嗅覚 「幸せ」を想像される香りを届ける

②聴覚 心地いい音

③視覚 目で見た情報と行動が直結する☛買った自分が幸せな気分になれるかを見た目で伝える

④味覚 身体にいいね楽しい雰囲気

⑤触覚 ふわふわ、ほかほか、ぷにょぷにょ、ふんわり まるで赤ちゃんのよう


さらにはインサイトをつかむ聞き出し方、事例 など。

書きたいことはやまほどにあるが、ここは本書でぜひ読んでいただきたい。


女性消費者は、マーケットに大きな影響をもたらす消費リーダーであると考えれば、

今までのマーケティングでは見えなかった世界がそこには存在し

そう考えると、可能性はまだまだ広がることを感じる。

ひとつひとつ、分解し解説されているほか、わかりやすい図もはいることで より読みやすくなっている。


マーケティングに長年携わっていた人も、そうでない人にも ぜひおすすめしたい一冊だ。



◆著者について

日野 佳恵子(ひの かえこ)

株式会社ハー・ストーリィ 代表取締役

1990年広島市にて創業。地域の女性たちのネットワークをつくり、消費者体験の意見などを企業に届けるマーケティングサービスを行なう。同時に、家庭にいる女性たちの能力を活かす人材バンクを立ち上げ、自宅で業務ができる現在のリモートワークの原点に近い就労スタイルを確立させる。女性たちのクチコミパワーに着目した書籍『クチコミュニティ・マーケティング』 (朝日新聞社)はベストセラーとなる。


2010年以降、拠点を東京に移し、 「女性視点マーケティングⓇ 」という消費全体の8割に影響を及ぼす女性の存在に着目したマーケティングを企業に提供している。2015年から女性消費者動向レポート「HERSTORY REVIEW」を月刊で発行。 「女性のあした大賞」アワードを開催し、女性たちの未来を支援する商品・サービスを表彰している。