こんにちは、やずや式少数盛栄塾で編集長をしております妹尾満隆(せのお・みちたか)です。
この記事では、最近よく話題に上がるサブスクリプションと並行して用いられるカスタマーサクセスについて詳しく解説をして参ります。
カスタマーサクセスとは、顧客の成功を支援することが企業の利益になるという考え方になります。
カスタマーというのは、あなたの会社が提供するシステム(ツール)や商品を利用する顧客の事であり、それは法人、個人(BtoB、BtoC)どちらにも当てはまります。
受動的に顧客からの要望に対応していくのではなく、能動的にこちらから顧客に対して働きかけます。
例えば、弊社では企業にCRMシステムを導入する際に、受注を受けてから勝手に構築を行なっていくのではなくシステムを導入する前から説明を行い、その企業と入念な打ち合わせをし 『伴走を意識する』 様にしています。
弊社のシステムを導入が終わった後も、取引先の要望に応じて修正を加えていきます。
これは弊社のシステムを通じて、取引先が成功して欲しいという思いからです。
そして、企業(取引先)の成功が自社の利益に繋がるというのが分かっているからです。
カスタマーサポートとは、顧客からの質問や問い合わせに即時応答で対応出来ることになります。
弊社で提供しているカスタマーサポートのCRMシステムでは、問い合わせ顧客の特定を瞬時に行い、顧客の情報を瞬時に表示させ、顧客にすぐに寄り添えるように工夫をしています。
特徴的なのは、生産的、効率的でありながらも顧客のロイヤルティの向上の実現に繋がることですが、その反面こちら側(会社側)からは特に提案などはしません。
質問や問い合わせの回答をし、顧客が納得すればそこで終了という短期的なものです。
その反面、カスタマーサクセスは『共有』というところが入ってくると思われます。システムを導入することによって、どの様に企業が変わっていくのかを説明し、それに納得して頂けたら導入してもらう。
そして、これは企業(顧客)の成功がゴールになりますので、中長期的になりがちです。
例えば、弊社で提供している『MIRAI』という売上分析システムは導入の決定から、構築までに1年程度かかります。
さらに、見るべき指標や取引先の情報を見ながら『現在この様な状態になってるからこの属性の顧客にDMを送るべきでは』などの提案もさせて頂いております。
この様に、カスタマーサポートは短期的、効率的がメインになるのに対して、カスタマーサクセスは中長期的目線、継続的な成長の後押しという違いがあります。
カスタマーサクセスの重要指標を意識することによって、なぜこの考え方が利益に結びついていくのかが理解できる様になります。
チャーン(Churn)とは離脱や解約のことを意味します。
定期収益ビジネスモデルにおいて、稼働顧客(リピート顧客)の減少が売上、利益を下げる大きな原因の1つになります。
解約の1番の原因はカスタマーサクセス向上への投資が少ないことにあります。
例えば、初めて購入した顧客に対して何もフォローしないと2回目の購入(継続)には繋がらないのですが、ほとんどの場合で1度購入した顧客に何もフォローをしていません。
ここに対しての投資を出来るかどうかが、解約の減少に繋がる重要な行動になります。
また管理については、どれくらいの稼働顧客がいてどれくらいの顧客が継続的に利用してくれているかを把握しておかないといけません。
ただ単に売上だけを見ていても、それは見える数字ではないのです。
もちろん弊社では、稼働顧客の状態を見える化システムを提供しておりますので気になる方は下記の記事をご覧くださいませ↓
売上分析システム(顧客管理システム)が将来の売上減少を防いでくれる?重要事項を解説します!
解約率が下がるということは、その反対として顧客はあなたの会社のサービス(商品)を使い続けたいと思っているとも言えます。(心からあなたの会社と繋がってる場合)
この様な状態では、あなたの会社の他のサービス(商品)も使いたいと思われそれが客単価の上昇(アップセルやクロスセル)に繋がります。
カスタマーサクセスに意識を向けると、客単価の向上にも繋がるのです。
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カスタマーサクセスに意識を向けると、顧客のロイヤルティが向上しあなたの会社のファンになります。
ファンになることで、競合他社に乗り換えられることはなくなり長期的にあなたの会社のサービスを利用することでLTV(ライフタイムバリュー)が向上します。
それと同時に、あなたの会社の良い口コミをしてくれるのでそれがまた新たな顧客を連れてきてくれるのです。
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カスタマーサクセスが注目される様になった理由は、サブスクリプション型のビジネスを導入する企業が増えたからだと思われます。
サブスクビジネスの基本的な考えに、顧客と長く契約を交わしておくことが利益の最大化に繋がりますので、そこを追求していくとカスタマーサクセスに繋がるのです。
ではもう少し深く他の要因も見てみましょう。
『物を所有する』これをやると最初に大小の差はあれど大きなお金が発生します。さらにそれを1回しか使わないと分かってると、本当にそこまでしてその商品にお金を使うべきなのかを考えてしまうものです。
しかし、Saasなどサブスクビジネスのスタイルであれば、それを利用(使用)する時だけ安価に利用し、それが終わったら契約を終了させることによって大幅なコスト低下に繋がります。
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1つの物を購入しそれを長く愛用するという価値観は今でも変わりませんが、本当に必要としないものはレンタルで良いという価値観です。
例えば、年に1回しか旅行に行かないのに場所を取るスーツケースを家においておくのは、スペース的にも利用頻度においても効率が悪いと考えられます。
それならば、その時だけレンタルで借りて使った後はまた戻すということをした方が効率が良いわけです。
音楽や動画のサブスクリプションモデルでも、1曲だけを購入するよりも月額でお金を払うことによって、様々な楽曲を楽しめることがメリットとなりそちらを選ぶ人が増えているのです。
本当に大事な物は所有し、そこまで重要でないものはシェアリングエコノミーで済ますというのが最近の行動パターンになっております。
テクノロジーが発達したことによって、定額でサービスを提供出来る様になりました。
これまでの日本は物作りが強かった訳ですが、この物を大量に作って売るという構図では利益を上げにくくなりました。
それは海外メーカーでより安価に同じ様な物が製造されたりなどして、コモディティ化するスピードが早くなったからです。
それらを加味して、物作りの品質を大事にしながらも、サービスへも力を入れる様になりました。
例えば、コマツが提供しているスマートコントラクションは測量から完工(維持管理)までの全てのプロセスをICT機器( Information(情報)Communications(通信)Technology(技術)での略)で制御することによって生産効率性を高めています。
この様に建設機械を販売するだけでなく、自社に蓄積された情報量を生かしそれを企業(顧客)と共有することで、課題解決に取り組むサービスを提供出来る様になりました。
従来のビジネスでは、顧客との関係は『購買』がゴールでした。
しかし、先ほど解説した様に購入されただけでは継続的な利用に繋がらず利益の最大化になりません。
それは商品を購入してもらうための前段階である、商談やプレゼンテーションの重要性が比較的下がったのに対して、その後の工程であるサポート対応を始めとした『顧客の立場に寄せて運用する』ということの重要性が高まったというです。
ここで重要になってくるのでカスタマーエクスペリエンスという考え方です。
※以下からはカスタマーエクスペリエンスを顧客体験と表記します
継続するかどうかの判断はどこで下されるのかというと、 『顧客体験』 になります。
顧客体験の詳細についてはこちらの記事では語りませんが、簡単に説明すると商品から派生する全ての接点になります。
オペレーターの対応、サイトの見やすさ、店の雰囲気、SNSでの情報などですね。
例えば、商品を購入したのに電話が繋がりにくかったり繋がったとしても無愛想な対応をされると、この会社のサービスはもう利用したくないと思いますよね。
この様にこれまでは『物』が企業と顧客を繋げるパイプであったのに対してカスタマーサクセスは、『物』も含めた『顧客体験』がより重要になるのです。
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カスタマーサクセスという言葉は、心理ロイヤルティの創出という言葉の言い換えにしかすぎません。
この考え方の根本となる部分は、あなたの望む成果を得るためには、顧客が要望することを提供してあげることです。
可能不可能あると思いますが、顧客の声に耳を傾けそれに合わせて行くことで顧客との心の距離が縮まり、あなたの会社のことが好きになり継続的にサービスを利用してくれるのです。
表面上は、利益に直結する様には見えませんが次第にLTVが上がり好意的な評価をされ、二次的な好影響を得られる様になるでしょう。