こんにちは、やずや式少数盛栄塾で編集長をしております妹尾満隆(せのおみちたか)です。
今日はこれからビジネスをしていく方なら真っ先に理解しておいて欲しい、ランチェスター戦略について解説をしていきます。
ランチェスター戦略を理解できていれば、無駄な所に資金を割り当てたり、無駄な争いを避けてビジネスを進めていくことが出来るでしょう!
元々は第一次世界大戦時に生まれた戦術で、イギリスの航空技術者であるフレデリックランチェスターさんがどうすれば戦争に勝てるか!?というのを法則としてまとめたのが始まりになります。
それが第二次世界大戦の軍事利用を経て、戦後の経営学の観点からも注目されるようになりました。
日本では田岡信夫(たおか・のぶお)さんという方の著書である、「ランチェスター販売戦略」が起源にありそこから普及していったと言われています。
日本のバブル期である1970年代〜90年代にかけて、産業が急速に発展していきました。
その時に、有名なパナソニックの経営者である松下幸之助さんもランチェスター戦略を取り入れています。
そのほかにも、トヨタ、日本生命、武田薬品などの今となっては大企業も、当時まだ中小企業だった頃に取り入れてるくらい重要な戦略なのです。
マーケティング視点で見るランチェスター戦略とは、弱者がすでに存在する強者に勝つ(生き残るため)の弱者のための戦略と考えると分かりやすいでしょう。
強者に勝つためには、弱者は強者に勝てる戦略を取らないといけません。
人材、資金、など大手に敵わないとしても、これから説明する5つの戦略を実施することによって突破口が開けるのです。
広範囲で戦おうとすれば負けてしまいます。
事業が複数ある場合、それらの事業に同じように人材も資金も使っていればそれぞれ最大のパフォーマンスを発揮することは出来ません。
例えば、A事業は売り上げも利益も順調に成長しているが、B事業がほどほどでしか成長していない。
このような状況の場合はA事業に全てのパワーを注ぎ、A事業をもっと大きくライバルに負けない事業にしていくことが大事なのです。
この考え方は、PPM分析に近いので興味のある方は下記の記事をご覧ください↓
PPM分析とは!?マーケティングで重要な商品の力を解説します
競合が多い市場や、取引相手が多い顧客を狙うのではなく、一社としか取引をしてない会社を選んで取引を進める戦略です。
そもそも顧客が一社としか契約してない状態というのは、その一社しか見ることが出来ないので、その金額が高いのか安いのか?という判断基準がなくモヤモヤした状態である可能性が高いです。
しかし、そんな所に自社だったらこれくらいのクオリティでこれくらいの金額で提供出来ますよ!という提案をすれば乗り換えて貰える、もしくは取引先に追加して貰える可能性がある戦略なのです。
顧客の取引する会社がある程度多い会社であれば、大体の相場観などを掴んでるのでこれ以上は必要ないと考えられるのですが、取引が少ない会社であればそれらの会社に競争して欲しいという気持ちが働くからです。
大企業が好むのは、世間を一気に認知させるマスマーケティングです。
テレビ、CM、ラジオなどですね。
弱者はこのような戦法をとっても勝てるわけがないので、顧客と接近戦で戦います。
これがダイレクトマーケティングです。
大企業はマス(大衆)を取りに行くので、大勢を相手にする分しっかりと伝えたいことが伝わらない可能性があります。
ダイレクトマーケティングであれば、興味のありそうな顧客を絞ってアプローチをしていくので反応して貰いやすいのです。
関連記事はこちらから↓
ダイレクトマーケティングとは?考え方と実際の方法を解説します
局地戦の相対した戦略になります。
広範囲で戦わないという選択をするということは、一点に集中して戦うということです。
突破口が開ける可能性がある事業に、一点集中すると勝率が上がります。
例えば、全く新しいジャンルの事業というのは、その時点で敵がいない状態です。
そこに資金と人材を一点集中させることによって、大きな資本や人材を持ってなかったとしても先行して参入したことによって、市場のシェアを大きく取れる可能性がありますよね。
ですので、全く新しいジャンルの事業で一点突破主義を貫けば、この新成分のブランドといえばここの会社!という認知の獲得をしやすくなるということです。
そのまま奇襲という意味ですが、不意打ちとも捉えることが出来ます。
ビジネスの視点で考えると『そう来たか!』という戦略です。
例えば、駅前にたくさんの人が通るから駅前に店舗を置く戦略をとったのがダイエーです。
ダイエーが輝いてる間に、ある会社が裏で動いてました。
当時はまだまだ人の移動といえば、電車などの公共交通機関だったのですがだんだんと車が普及し始めてる、という所に目をつけたのがイオンです。
イオンは、車が普及し始めたら駅周辺だけでなく郊外にも人々は足を運ぶようになるだろうと考え、郊外型ショッピングモールに力を入れるようになりました。
そして、それらが現在どうなっているのかというのは周知の事実です。
自分が弱者であるかどうかというのは、その事業での獲得シェアの割合によって変わります。
例えば、日本の2019年のスマートフォンの市場シェアは下記になります。
1位 アップルが1443.2万台(シェア45.4%)
2位 シャープが423.5万台(同13.3%)
3位 富士通が265.8万台(同8.4%)
出典:2019年国内スマートフォン出荷台数 ベンダー別 シェア
このスマートフォンの市場シェアで強者に当たるのは、アップルだけで2位以下は全て弱者という考えになるのです。
2位以下のこれらの会社は、もちろん大企業で売り上げも大きな会社なので弱者というのは違和感がありますが、それでもランチェスター戦略の概念から考えると弱者に分類されるのです。
これから起業される方、ブランドを構築しようと考えてる方で上手くいってる事業を真似しようと考える方は多いのではないでしょうか?
昔の私は上手くいってる人(会社)の真似をして、それ以上の規模を構築出来れば大きく会社を成長させることが出来ると考えていました。
しかし実際にはそうではありません。
同じジャンル(業界)で圧倒的な認知、ブランド力、信頼性を持ってる会社に勝負を挑んでも絶対に勝つことは出来ません。
なぜなら二番煎じだと認識されるからです。
自分がどれだけ良いと思っていても、自分がどれだけライバル会社より機能面で優れてると思っていても、それが受け入れられることはないのです。
例えば、私の場合だったらこれから『ブルーベリーサプリ』を販売しても売れるわけがないのです。
なぜなら、ブルーベリーサプリの会社はここの会社!というのが世間一般で認識されているので、どれだけお金を使おうともどれだけ安く販売したとしても、そこに太刀打ちするのは非常に難しいことでしょう。
ではどうするべきかと言うと、全く新しいジャンル(事業)を自分で作り出しそこで1番を狙うのです。
これが弱者が取るべき一番重要な戦略です。
私の場合だったら、まだどの会社も取り扱っていない目玉成分を使った新しいサプリと言うことになるでしょう。
弱者なりに強者に勝つような戦略を実行してるつもりでも、それは有効な手段でない場合があります。弱者が間違ってしまうミスについて見てみましょう。
大手との勝負に関わらず、ライバル会社がいればその会社より少しだけ値段を下げて販売してしまう戦略です。
私が昔アマゾンで販売してた頃は、ライバルセラーが自分より少しだけ値段を下げて販売してたので自分はもっと安く販売するようにしました。
そうすることによって一時的に売れるのですが、ライバルも同じように値下げをして販売するのでどんどん値段が下がり、利益が出ない状態になっていました。
これは大手と戦う時も同じで『値段』という領域で戦っても、大手の方が資金力も体力もあるので全く勝負になりません。
まずは自分が決めた値段をしっかりと守ることを条件に、それに見合った付加価値をつけて高値で販売していかないといけないのです。
どの業界(事業)においても、基本的には二番煎じ感を払拭することが出来ません。
結局二番煎じの場合、一番目の会社と勝負しないといけません。
そして、その会社を打ち負かしたり追い抜こうとする時点で、資金も人材も大量に浪費してしまいます。
敵がいない場所で戦う事が出来れば、その市場は自社だけなので必然的に勝てるのです。
また「上手く行ってる事業の真似をする」というのをやると、その事業に自分の『思考と志向』が入っておらず利益が上がれば良いという考えに陥り、例え最初は上手く行ったとしても方向性が見えなくなってしまいます。
なぜなら私はこの会社を通じて、世の中をこうしたい、世の中をこう変えていきたいという信念がないからです。
弱者はまず「既存にあるものを真似しない」というところからスタートすべきでしょう。
世の中にない新しいものを作る、探すのは非常に骨の折れる作業です。
しかし、ここを避けていても上手くいくことはないのです。
新商品の開発にはあるコツがありますので、興味のある方は下記の本を読まれてみてください。
弱者はランチェスター戦略を、実践しなければ負けてしまいます。
昔の私は精神論で、努力が足りないから上手く行ってないんだ!と考える癖がありとりあえず長い時間働けば成功出来ると信じていました。
しかし、ランチェスター戦略を勉強することによって、正しい方向性で努力が出来るようになったと実感しています。
弱者には弱者なりの勝てる戦略があります。
ほとんどの方が弱者に分類されると思いますので、この機会にランチェスター戦略を取り入れてみてはどうでしょうか。